佐野優子選手のアンダーによる二段トスを見てみる<ライトにいくフリをしてほかへ上げる篇・システム上の問題> | 強行突破 FC2新館
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前回最後に取り上げた眞鍋監督の月刊バレーボール1月号での言葉です。

月刊バレーボール1月号P145より引用
眞鍋「(前略)そのかわりライトにいくフリをしてほかへ上げたりしました。(後略)」


二段トスの場面でも攻撃の選択肢を作るということは、相手のブロッカーに判断を強いるという点で、是非とも取り組みたいところです。
この点は二段トスをセットアップをする時、かなりの本数を体の向きから正面を向いた方向の前衛ライトにトスを上げていたワールドグランプリの頃と比べると、チームの取り組みとして一歩進んだ部分です。

眞鍋監督は本当は現在行われているVリーグで、久光製薬スプリングスが行っているような二段トスの形を理想のイメージとしているとは思っていますが、おそらくこの段階でリベロプレイヤーのオーバーでのトスの技量が問題になってきたのでしょう。
そこで「アンダーでいいからやれ!」という流れになったのではないかと推察します。

今回はtamtam_twtr氏のYouTubeから、動画を3連発で見ていきます。
3本の動画を繰り返し見ていくことで、アンダーによる二段トスを選択した弊害がはっきりと見えてきます。
今回はマクロな目線で、システムとしての弊害について書いていきます。

とりあえず1回ずつ見ていただき、その後の文章を読んでいただいた後で、私が言っていることが言いがかりでないかどうか繰り返し動画をチェックしていただけたら幸いです。
その上でもし異なる見解や新たな発見などがありましたら、TWITTERで#vabotterハッシュタグ付きで発言してください。
さらに考えていきたいと思います。

まずはコート中央から前衛レフトの江畑幸子へ


もう一本、コート中央から前衛レフトの江畑へ


そしてコート中央からバックセンターが決まらず、続けてコート中央から前衛レフトの江畑へ


これらはいずれも前3枚の状況です。
というか偶然ですが、月刊バレーボール1月号で明かされた、一番回らなかったというS2ローテーションです。*訂正!

江畑山口井上
佐野竹下木村


*訂正
更新後チェックしていて気付きました。
こちらのローテーションはS6でした。


両サイドからの攻撃の可能性があることから、対戦相手は3ヶ国ともブロックシフトはスプレッドになっているところも共通しているところです。

① 「アンダーによる速くて低い二段トス」は、実況アナが絶叫するほどはやくはない。
3本目の動画では、1発目のバックセンター木村沙織のスパイクが伏線となって、中国のミドルブロッカーのサイドへの寄せが遅れる効果を発揮していますが、単発では「アンダーによる速くて低いトス」が、スプレッドからでもサイドに2枚しっかりと揃えられています。

スプレッドの選択は後述の②が最大要因ではありますが、日本のバックアタックはブロック1枚のほうが効率良くディフェンスできると見切られているとも考えてよいと思います。
それだけトスとのタイミングが合わない、アタッカーがおっつけフォームで行う攻撃が多いということです。
攻撃強度が低いので、レシーバーの枚数を増やせば充分カウンター攻撃に繋げられると思われている。

こういった場面で『バンチにシフトしたほうがよいのではないか』というように、常に相手に判断を強いる仕掛けをすることが戦術というものです。
世界選手権準決勝ブラジル戦の1・2セット、そして3位決定戦のアメリカ戦で立派な戦いができたことは、竹下佳江が効果的に前衛センターのクイックを使ったという要素がとても大きいと考えています。

『Aパスならバンチ・Bパスならスプレッド』とか『Aパスならコミット』とか、相手に対応のための条件を突きつけることによって常に負荷を与えていく。
そして相手の処理能力を超えたところに突破口が生まれてくるものだと考えています。

合わせて『はやいトス』によって2枚ブロックを完成させない(トスを割る)ことを追求していくならば、別のアプローチが必要になってきます。
この点は月刊バレーボール今月発売号から連載されるT.w氏の記事を読んでいくと、ご理解いただけるようになると考えています。
『大事なのはトスの速さではなくアタッカーの踏み切りのタイミングの早さ』という切り口から語られるはずです。


② 竹下ファーストタッチの時点で前衛センターは攻撃に入る気が全く無くなる。
この点がアンダーによる二段トスの最大の弊害でしょう。
前衛センターの井上香織は、3本の動画の全ての場面で攻撃に入る意思を見せません。

アンダーでネット方向に上げるトスを正確にコントロールすることは、かなり難しいことです。
オーバーで上げるよりもネットとの高さの差も生まれます。
そして距離の正確なコントロールも、腕・手首・指まで使えるオーバーに比べると、アンダーのほうが難しい。

①と連動しますが、ここで『縦のBもある』という可能性があったとしたらどうなるでしょう。
対戦相手はのんきにスプレッドで構えていてよいかどうか、真剣に考えさせられることになっていきます。

そこで井上が「どうせ私にはトスが上がらない」と判断するのは状況判断としては間違ってはいません。
しかし、トスが上がる先を見て、真っ直ぐに別のアタッカーのフォローに行くのが正しいのか。
それとも相手ミドルブロッカーに負荷をかけることを狙って何らかの行動を起こすことが正しいのか。
大一番の世界選手権ファイナルラウンドでは、こうした場面で全力で囮に入る荒木絵里香がしばしば起用されていることで、強い相手と戦う時に目指すべき方向性は示されていると考えられます。

また、二段トスをリベロがセットするシステムに移行した最大の目的は、『攻撃力が劣る日本は、B・Cパスの状況でもできるだけ攻撃枚数を多くしたい』ということであったはずです。
自動的に前衛センターの攻撃が無くなるのであれば、前衛センターがセットアップする、男子で言えば1990年代のオポジットスーパーエース型のシステムで良いはずです。

リベロがセットアップして常に攻撃枚数をブロックの枚数を上回る可能性を目指しているシステムに完全に移行しているチームは、女子の世界強豪チームの中にもまだありません。
この点は他国に対して大きなアドバンテージになっているのですから、本来の目的を見失わないようにしてほしいものです。



今回はアンダーによる二段トスそのものよりも、アンダーによる二段トスがもたらしているシステム上の弊害について書いていきました。
次回は同じ動画でアンダーによる二段トスそのものに注目していきます。
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