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眞鍋監督は月刊バレーボール1月号のインタビューで「リベロによるアンダーによる低くて速い二段トス」について、最後にこのように話しています。

月刊バレーボール1月号P146より引用
眞鍋「ただやっぱりアンダーで速く上げるので、どうしてもぴたっと合わない時があります。そこは最終的にはスパイカーが微調整するのが鉄則です。(後略)」


これを読むと、眞鍋監督自身が『ファーストテンポ』による『シンクロ攻撃』の方向性は今のところ考えていないのだなということに気付きます。
『テンポ』と『シンクロ』の理解がまだなのかなとも思います。

『攻撃のはやさ』を単純なトスのスピードでしか考えていない。
本音に約すと『セットアップする選手が速いトスでアタッカーを振り回すのがカッコイイ「速い」攻撃だ。トスがずれたらアタッカーが修正しろ』となるでしょうか。
見た目には確かに速くてアクロバティックに見えますので、これまでバレーボールを伝える側もこうした方向性を大喜びで絶賛してきました。
しかし、速いトスだからブロックが割れているかといえばそんなことはありません。

すでに男子トップレベルでの基本的な考え方、そして女子トップレベルが今後追従していく方向性とは逆行する考え方です。
今の形では、効果の有り無しで言っても100本以上上げてRunningSetがわずか2本というところで、「効率が悪すぎる」と判断しても良いでしょう。


ファーストテンポによる同時多発のシンクロ攻撃

昨年のバレーボール百科事典バレーペディアの発売で、私も含め、一部のバレーファンや関係者の間でも『テンポ』の理解が広まりました。
それ以降、トスの速度『m/s』で攻撃の速さを考えることについてはさんざん批判してきました。
私は攻撃のはやさを考える時に「セットアップからスパイクヒットの瞬間まで」ではなく「セットアップからスパイクのブロックライン通過まで」に範囲を広げて書いていくようになりました。

川合解説者が使っている『ブロックが完成する前に打て』というフレーズは、ブロッカー個人の空中姿勢が完成する前にというアタッカーとブロッカーの1対1の関係で捉えた言葉でしかありませんでした。
しかし、『ブロックが完成する前』というのを、相手ブロックシステムが狙っている完成形として捉えることで、求められるはやさがどういうものであるのかが見えてきます。

多少はそういったキャンペーンの効果もあったのか、『一秒の壁』という恥ずかしいフレーズは2010年は川合解説者の口からしか聞かれなかったものの、まだまだ理解は浸透しておらず「はやい攻撃=トスの速さ」という固定観念に縛られている人がいまだに多い状況です。

それでも2011年の春高バレーでのTV中継では、『速い攻撃=高い攻撃』とする実況や解説がとても増えてきました。
バレーボールを伝える側の意識が少しずつ変わってきたことが感じられます。
中継を見る多くのバレーファンにも少しずつこうした認識は広まっていくことでしょう。


そしてまもなく発売のVOLLEYBALL (バレーボール) 2011年 02月号 [雑誌]では、T.w氏がTWITTER上でのさまざまなやりとりを経て、『テンポ』の理解を一層広めていくために「助走スタートタイミングから」攻撃のはやさを考えていく連載がスタートします。

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「日本のオリジナル」を科学的に検証する『深層真相排球塾』というコーナーが始まるそうです。

TWITTERバレークラスタの#vabotterによって、これまで「はやいバレー」についてもいろいろなトークが繰り広げられてきました。
こういう表現だと伝わりやすいとか、こういう言い方だと誤解を生むとか、TWITTERでのやりとりの中で試行錯誤も行われてきています。
#vabotterでわからないことを「わからない」とはっきりと言ってくださった方々の力というのがとても大きいのです。
こうしたやりとりを何度も繰り返して、伝え方や切り口などがバレーボール百科事典バレーペディアの頃からさらにブラッシュアップされてきました。

『深層真相排球塾』はバレーボールを考える上で、現時点での集大成のようなコーナーとなりそうで、内容に期待をしています。

このコーナーの感想や意見はTWITTERで単独のハッシュタグを付けて収集しようと考えています。
VOLLEYBALL (バレーボール) 2011年 02月号 [雑誌]、まもなく発売です。
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アンダートスを使用するシステム上の問題点とアンダートスの基本技術について2回に渡って書いてきました。

眞鍋監督は月刊バレーボール1月号のインタビューで興味深いコメントを残しています。

月刊バレーボール1月号P145より引用
眞鍋「(前略)女子の場合は、斜めにスパイク、クイックもそんなに打てないから(後略)」


渡辺アナリストは月刊バレーボール1月号のインタビューでこのように言っています。

月刊バレーボール1月号P141より引用
眞鍋「トランジションからの攻撃はもっといい形があるはず。例えばセッターが最初に触ったあとの今の形は日本のオリジナルでいいと思うのですが、それももっと高めることができると思います」



本当に今のオリジナルでいいのか?

眞鍋監督が言っている状況を、前衛センターが機能不全に陥っている状況も合わせて解決する手段が思い浮かんでしまった私には、今回のアンダーによる二段トスを自画自賛しているにしても、中途半端にしか感じられないのです。
今回は、実況アナウンサーが「これが日本のオリジナル!」と叫ぶなら、最低これぐらいのことはやりなさいよ。という素人のアイディアです。



tamtam_twtr氏のYouTubeを続けて見ていると、竹下佳江がファーストタッチをするケースが圧倒的に多いことがわかります。
竹下はそのボールの多くをしっかりとコントロールして、アタックラインのギリギリ後方のコート中央付近にきっちりと上げています。

コート俯瞰図で示すと、赤い斜線の楕円形ぐらいのゾーンが目安です。
001.jpg

ここがおかしい。

この位置にボールを返すのは、コントロールが容易であり、多少のコントロールミスが致命的なエラーになりにくいからです。
そしてバックゾーンならばリベロもオーバーでこれを二段トスにできます。
多少コントロールをしくじってアタックライン前方にボールが入ってしまっても、リベロがジャンプトスをすれば、オーバーでトスを上げられます。

しかしこの位置からのセットアップだと、どのアタッカーも眞鍋監督が言っている「女子が苦手とする斜めのトス」を打つことになります。
それが女子の特性だと言うのであれば、正確なトスを上げるのも困難にしているし、ヒットポイントを把握することも困難にしていることになります。
002.jpg
一番影響が少ないのはバックセンターの攻撃です。
場所にもよりますが、基本的には眞鍋監督がインタビューで話しているように、チョコンと上に上げるだけで良いケースも多いでしょう。

それから前衛の両サイドはアタッカーが修正できるだけの高さを持ったトスを上げればなんとかなります。
なんとかするのがサイドアタッカーのお仕事でもあります。

しかしセッターを基準として、セッターとの距離感だけで攻撃に入っているセンタープレイヤーだと、攻撃に入りようがありません。
後方から上がってくるトスということも攻撃を難しくします。


ここで頭をひねってこそ、日本のオリジナルだと思うのですけれども…

リベロがアンダーで二段トスを上げることを約束事にしたわけですよね。

大事なことだからもう一度確認します。

リベロがアンダーで二段トスを上げることを約束事にしたわけですよね。

だったら何故、ボールをコート中央に集めるのでしょう?
レセプションで崩された場合やディグで崩れた場合はともかく、ファーストタッチでコントロールできるボールをコート中央に集めている意味がわかりません。
アンダーで上げる前提なら、ボールをフロントゾーン、それもネット際にボールを集めればいいじゃないか。

ファーストタッチの機会が多い竹下なら、今までのプレイの技量を見る限り、かなりの高確率でボールを下図のゾーンに集められると思います。
また日本の全体的に高いディグ能力を前提としたシステムならば、簡単には他国が追従できないオリジナルになるはずです。

こうすることで、ネット際まで上がったリベロは、全てのアタッカーを視界に入れた状態でセットアップできます。
この位置までリベロが上がるのが大変という意見も出るかもしれませんが、バックライトで守るセッターに出来てバックレフトで守るリベロに出来ないということは考えられません。

低い位置からのトスアップでも、ネットを背にして行えば、全アタッカーから見てトスアップの瞬間が死角になりません。
またこれは、リードブロックを取るチームの相手ブロッカーに対して、スクリーン効果を発揮する可能性もあります。
リベロのアンダーによる二段トスで、本当に相手のブロックが割れるかもしれません。

そしてバックライトの攻撃を除けば、女子が苦手という「斜め」をバックライトを除いて排除できます。
セットアップする選手も、「ネットに平行に」「ネットに対して直角に」という意識で上げれば良いポイントが4ヶ所になります。
前衛センター攻撃の機能不全も解消されることでしょう。

さらには、これならばバックレフトからの攻撃の可能性も生み出すことができるようになります。
これは2010シーズンの一時期試していた攻撃ですが、距離や位置関係が窮屈なためか、見られなくなりました。
セットアッパーとアタッカーの視界が開けたことで成立する可能性が高くなるはずです。
003.jpg

ここまでやっていれば、実況アナウンサーが「これが日本のオリジナル!」と絶叫していても気にならないと思うのです。
きっと「おお、面白い!」とゲラゲラ笑えたことでしょう。

中途半端なシステムで「これが日本のオリジナル!」なんて叫ばれても、シラケるだけです。
素人がこのように提案する以上のものを見せてくれてこそ『全日本』です。
これ以上のシステムを提示して見せてくれないならば、ブラジル男子の完全コピーのほうがいい。

この先のオリジナルの絵も頭の中に描けていますが、「リベロはサーブレシーブに入らないといけない」という固定観念をぶち壊すにはまだまだ時間がかかると思いますので、今回はこの辺にしておきます。


次回が本シリーズの最終回になります。
最終回→月刊バレーボール2月号→アンサーエントリーという流れを想定しています。
今回もtamtam_twtr氏のYouTubeから、前回と同じ3本の動画を見ていきます。

月刊バレーボール1月号P145より引用
眞鍋「(前略)そのかわりライトにいくフリをしてほかへ上げたりしました。(後略)」


今回はシステム上の問題ではなく、トスの問題に切り込んでいきます。

プレイ感覚が無いとなかなか判りにくいかもしれませんが、RunningSet篇の動画と比較しながら繰り返し見ていくことで、おそらく言おうとしているニュアンスは伝わるのではないかと考えています。


アンダーハンドトスアップ例(15)


アンダーハンドトスアップ例(16)


アンダーハンドトスアップ例(17)


アンダーハンドトスアップ例(17)のバックセンター木村沙織への1本目のトスを除き、上記3本の動画で佐野優子は背後にいる江畑幸子に二段トスを上げています。

本シリーズの<眞鍋監督インタビューへの疑問篇>で、アンダーで良いトスを上げる条件として以下の2点をあげました。
①上半身をきちんとロックして
②両足の直線的な荷重移動でボールを運ぶこと


②は少し言葉足らずだったので補足させていただきます。
②軸とした両足の間を荷重移動範囲として、その範囲内での下半身の直線的な荷重移動でボールを運ぶこと
ただし、長くなるので説明には言葉足らずなほうを使用させていただきます。

佐野は3つの動画での二段トスで、4本とも決して雑なトスを上げているわけではありません。
しかし(17)の木村へのトスでのブロードジャンプをさせるための位置微調整を含めて、4本全てのトスで②両足の直線的な荷重移動でボールを運ぶことは行ってはいません。
上半身はロックできていても、腰を軸にした1軸の円運動を行っています。
そのため(17)の木村へのトスは近距離にもかかわらず少しネットに寄せすぎとなり、木村は高さ不十分の追っ付け気味な体勢からスパイクを打つことになっています。

今回の3つの動画では前衛レフトの江畑に上げたトスの精度やトスの質については映像の角度的に何とも言えませんが、ボールコントロールを両足を軸とした範囲内で直線的な荷重移動で行わないと、ごく近距離ですら正確なトスを上げるのを失敗するケースがあることが(17)の1本目でおわかりいただけると思います。
そして、さらに距離が遠くなれば、その誤差がさらに大きくなりやすいこともご理解いただけると思います。


アンダーによる二段トスで、正確に江畑にトスを送ろうとするのであれば、両足の軸の間で直線的な荷重移動を行う必要があります。
今回のシリーズで何回か書いている、後頭部を打つ覚悟でバックドロップのような挙動をするというのがこれに当たります。

「自分が今コートのどの位置にいるのか」ということは本格的に競技に取り組んでいるバレーボール選手なら常に把握しながらプレイをしています。
私はこれをコート感覚と呼んでいます。
背後にボールを送り込む時はこのコート感覚を元に自分の場所とアタッカーのヒットポイントを判断し、送り出すボールをコントロールします。

背後へトスを上げる時にこういった基本動作をしていないと、トスの精度やトスの質が悪くなります。
二段スパイクを打つために常に準備をしているポジションはレフトプレイヤーです。
そこにアンダーで正確なトスを上げようとするのならば、上記のような体の使い方になってきます。*
「リベロによるアンダーでの二段トス」と決めたのであれば、こうした基本動作も徹底して、見る人を「凄い!ナイストス!」と唸らせるクォリティを見せてもらいたいものです。
*抜けていたので補記しました。

話が逸れるので細かくは書きませんが、この荷重移動の意識向上は同じセットプレイであるサーブレシーブの精度向上にも役立ちます。
ある場面で不調だったとしても修正が短時間で済むようになるので、練習に時間をかける価値があります。


3つの動画の中で最も良くないのは(16)の江畑へのトスです。
これは②両足の直線的な荷重移動でボールを運ぶことだけではなく、①上半身をきちんとロックしても行っていません。
つまり腕を振り回しています。

今回見た3本の動画では、相手ブロックがスプレッドから2枚揃えられるような、つまりアタッカーがトスを見て修正して打つことができる「高いトス」だったので、大きな破綻はきたしていません。
木村も江畑もトスと相手ブロックと相手コートを見て対処する能力が高いプレイヤーです。

しかしtamtam_twtr氏のYouTubeを見ていくと、このことが理由でトスが短かったり流れたり、ネットに近かったり大きく割れたりしている映像が数多く見られます。
このクォリティでは木村や江畑ほどの対処能力が無いプレイヤーが起用されている場合は、二段トスになった瞬間に攻撃力が低下することになります。


このシリーズのどこかの映像のコメント欄でぬのTが指摘している通り、「二段トスをアンダー」とすることで、コート中央からバックセンターへのトスでないと理想的なトスが望めなくなってしまっています。
実際は(17)の1発目のように、バックセンターへのトスでも微細なトスミスは発生しています。

アンダートスの縛りがセットアップの位置的な縛りと攻撃発生場所の位置的な縛りとなってしまう。
・バックセンター以外からの攻撃では、アタッカーの二段トス処理能力への依存度が高くなってしまいます。


その先の戦術的発展性があるのでしょうか。
前回最後に取り上げた眞鍋監督の月刊バレーボール1月号での言葉です。

月刊バレーボール1月号P145より引用
眞鍋「(前略)そのかわりライトにいくフリをしてほかへ上げたりしました。(後略)」


二段トスの場面でも攻撃の選択肢を作るということは、相手のブロッカーに判断を強いるという点で、是非とも取り組みたいところです。
この点は二段トスをセットアップをする時、かなりの本数を体の向きから正面を向いた方向の前衛ライトにトスを上げていたワールドグランプリの頃と比べると、チームの取り組みとして一歩進んだ部分です。

眞鍋監督は本当は現在行われているVリーグで、久光製薬スプリングスが行っているような二段トスの形を理想のイメージとしているとは思っていますが、おそらくこの段階でリベロプレイヤーのオーバーでのトスの技量が問題になってきたのでしょう。
そこで「アンダーでいいからやれ!」という流れになったのではないかと推察します。

今回はtamtam_twtr氏のYouTubeから、動画を3連発で見ていきます。
3本の動画を繰り返し見ていくことで、アンダーによる二段トスを選択した弊害がはっきりと見えてきます。
今回はマクロな目線で、システムとしての弊害について書いていきます。

とりあえず1回ずつ見ていただき、その後の文章を読んでいただいた後で、私が言っていることが言いがかりでないかどうか繰り返し動画をチェックしていただけたら幸いです。
その上でもし異なる見解や新たな発見などがありましたら、TWITTERで#vabotterハッシュタグ付きで発言してください。
さらに考えていきたいと思います。

まずはコート中央から前衛レフトの江畑幸子へ


もう一本、コート中央から前衛レフトの江畑へ


そしてコート中央からバックセンターが決まらず、続けてコート中央から前衛レフトの江畑へ


これらはいずれも前3枚の状況です。
というか偶然ですが、月刊バレーボール1月号で明かされた、一番回らなかったというS2ローテーションです。*訂正!

江畑山口井上
佐野竹下木村


*訂正
更新後チェックしていて気付きました。
こちらのローテーションはS6でした。


両サイドからの攻撃の可能性があることから、対戦相手は3ヶ国ともブロックシフトはスプレッドになっているところも共通しているところです。

① 「アンダーによる速くて低い二段トス」は、実況アナが絶叫するほどはやくはない。
3本目の動画では、1発目のバックセンター木村沙織のスパイクが伏線となって、中国のミドルブロッカーのサイドへの寄せが遅れる効果を発揮していますが、単発では「アンダーによる速くて低いトス」が、スプレッドからでもサイドに2枚しっかりと揃えられています。

スプレッドの選択は後述の②が最大要因ではありますが、日本のバックアタックはブロック1枚のほうが効率良くディフェンスできると見切られているとも考えてよいと思います。
それだけトスとのタイミングが合わない、アタッカーがおっつけフォームで行う攻撃が多いということです。
攻撃強度が低いので、レシーバーの枚数を増やせば充分カウンター攻撃に繋げられると思われている。

こういった場面で『バンチにシフトしたほうがよいのではないか』というように、常に相手に判断を強いる仕掛けをすることが戦術というものです。
世界選手権準決勝ブラジル戦の1・2セット、そして3位決定戦のアメリカ戦で立派な戦いができたことは、竹下佳江が効果的に前衛センターのクイックを使ったという要素がとても大きいと考えています。

『Aパスならバンチ・Bパスならスプレッド』とか『Aパスならコミット』とか、相手に対応のための条件を突きつけることによって常に負荷を与えていく。
そして相手の処理能力を超えたところに突破口が生まれてくるものだと考えています。

合わせて『はやいトス』によって2枚ブロックを完成させない(トスを割る)ことを追求していくならば、別のアプローチが必要になってきます。
この点は月刊バレーボール今月発売号から連載されるT.w氏の記事を読んでいくと、ご理解いただけるようになると考えています。
『大事なのはトスの速さではなくアタッカーの踏み切りのタイミングの早さ』という切り口から語られるはずです。


② 竹下ファーストタッチの時点で前衛センターは攻撃に入る気が全く無くなる。
この点がアンダーによる二段トスの最大の弊害でしょう。
前衛センターの井上香織は、3本の動画の全ての場面で攻撃に入る意思を見せません。

アンダーでネット方向に上げるトスを正確にコントロールすることは、かなり難しいことです。
オーバーで上げるよりもネットとの高さの差も生まれます。
そして距離の正確なコントロールも、腕・手首・指まで使えるオーバーに比べると、アンダーのほうが難しい。

①と連動しますが、ここで『縦のBもある』という可能性があったとしたらどうなるでしょう。
対戦相手はのんきにスプレッドで構えていてよいかどうか、真剣に考えさせられることになっていきます。

そこで井上が「どうせ私にはトスが上がらない」と判断するのは状況判断としては間違ってはいません。
しかし、トスが上がる先を見て、真っ直ぐに別のアタッカーのフォローに行くのが正しいのか。
それとも相手ミドルブロッカーに負荷をかけることを狙って何らかの行動を起こすことが正しいのか。
大一番の世界選手権ファイナルラウンドでは、こうした場面で全力で囮に入る荒木絵里香がしばしば起用されていることで、強い相手と戦う時に目指すべき方向性は示されていると考えられます。

また、二段トスをリベロがセットするシステムに移行した最大の目的は、『攻撃力が劣る日本は、B・Cパスの状況でもできるだけ攻撃枚数を多くしたい』ということであったはずです。
自動的に前衛センターの攻撃が無くなるのであれば、前衛センターがセットアップする、男子で言えば1990年代のオポジットスーパーエース型のシステムで良いはずです。

リベロがセットアップして常に攻撃枚数をブロックの枚数を上回る可能性を目指しているシステムに完全に移行しているチームは、女子の世界強豪チームの中にもまだありません。
この点は他国に対して大きなアドバンテージになっているのですから、本来の目的を見失わないようにしてほしいものです。



今回はアンダーによる二段トスそのものよりも、アンダーによる二段トスがもたらしているシステム上の弊害について書いていきました。
次回は同じ動画でアンダーによる二段トスそのものに注目していきます。
ここまで世界選手権の佐野優子選手のアンダーによる二段トスを3本見てきました。
3本目をCパスからのハイセットだったので除外するとして、他の2本の二段トスを見ていてどのように感じたでしょうか。
眞鍋監督が月刊バレーボール1月号のインタビューで答えているように、「速い」から決まっているのでしょうか。

(105)の山口舞のスパイクはセカンドテンポでした。
(35)の江畑幸子のスパイクもセカンドテンポです。

セカンドテンポの攻撃は、トス軌道が頂点を超えて落下したところを打つ攻撃です。
つまり私の分類では「チョン」に相当します。これはセミよりは低いけれども、「時間差の差」「時間差の二発目」の攻撃タイミングです。
大昔の日立の言葉で言えば「ポンパ攻撃」の「パ」の部分に相当します。

時間差の差のほうの攻撃がいったい「速い」のでしょうか。
バックアタックのケースでは、「アタックラインからの速攻」と言えるのでしょうか。

速攻とは例外もあるけれども、一般的にはマイナステンポ~ファーストテンポの攻撃です。

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ここまで一緒に見てこられた方ならばもうお気付きですよね。

佐野がしっかりと
①地に足をつけて、
②一方向に
③丁寧に
④アタッカーが充分なジャンプができるトスを
⑤正確に上げられた時に、

Bパスからの攻撃は相手にダメージを与えるに足る攻撃になっていきます。

アンダーで良いトスを上げるには、
①上半身をきちんとロックして
②両足の直線的な荷重移動でボールを運ぶこと

が大切なことも見てきたとおりです。


結局は「時間差の差」程度の速さをアンダートスで追求した結果、RunningSet…つまりトスが相手ブロックを割ったゆえに決まったと公式にカウントされたと言い切れるスパイクは1本もなかったことになります。

つまりブロックを割る、速くて低いリベロのアンダーによる二段トスは、どこにも存在しなかった。ということになります。

そして残りの100本以上のトスの中に、「低さ」を追求したがゆえにアタッカーがおっつけるしか手が無くなるケースがいくらでも見つけられます。
スパイクが決まった映像も数多くありますが、共通しているのは、上記でナンバリングした良い二段トスを上げるための要素のいくつかの条件を、佐野がしっかりと行っている時という傾向もよくわかります。


こういった攻撃はラッキーでポイントになる場合もありますが、ラッキーの積み重ねで『奇跡』を起こすことを目指しているのか、それとも思考と努力の積み重ねで勝利を必然としていくことを目指しているのか。

こういったもったいない攻撃を、アタッカーがしっかりとスパイクを打って決まらなくても相手を崩すところまで持っていけたらどれだけ戦いが楽になるか。
サーブで相手を崩す重要性がわかれば、スパイクで決めるだけではなくて相手を崩す重要性もわかるはずです。
私は全日本女子が例えばブラジル相手に奇跡の1勝をあげることよりも、10回戦ったら半分くらいは勝てるようになることを求めています。

今は眞鍋監督になってようやくバレーボールに思考が持ち込まれるようになり、ブラジル相手に10回のうち1~2回くらい勝ちが見込めるところまで来ています。
是非とも正しい分析をして、よりきちんと戦える全日本を作っていただきたいと願っています。


それからもうひとつ眞鍋監督は気になるコメントをインタビューで残しています。

月刊バレーボール1月号P145より引用
眞鍋「(前略)そのかわりライトにいくフリをしてほかへ上げたりしました。(後略)」



今まで見てきた映像では佐野は「アタッカーに送るトス」を上げています。

両足を地につけて直線的な荷重移動でトスを上げていてはボールタッチの前にトスを上げる先が相手ブロッカーにわかってしまと、スタッフが判断したのではないでしょうか。
そして「ほかへ上げろ」の指示が佐野に出る。

おそらくこのような指示が、佐野のRunningSetをこれ以上増やさなかった原因となっているのではないかと感じています。
次回はそれがわかる映像を3連発で見ていきましょう。
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